鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
彼のおかげで唯華の内定取り消しの希望はまだ消えていない。

こちらができる限りの指導をしてそれでも不真面目な態度なら、さすがに父も唯華の入社を諦めるだろうと思うことにした。



唯華のインターンシップは二日前に終了した。

偽りのない評価を人事部を通して会長に提出したところで、あとは父の判断を待つだけだ。

やっとひと時の平穏が戻った気分で週末を迎えた。

今日は日曜日。

朝から出社していたが十五時過ぎに帰ってきて、昴と一緒に食材の買い物に出かけ、キッチンに並んで料理をした。

夕食のメニューはエビチリと、サラダチキンとトマトの中華和えで、先ほど美味しく食べ終えたところだ。

今は自室でひとり、ラグに座ってスーツケースに衣類や日用品を詰めている。

大事な仕事用具は手持ち鞄の中だ。

明日から二泊でニューヨークに社員三名を同行して出張する。

狭い日本と違いアメリカには高層ビルの建設用地がたくさんある。

アメリカ市場への参入を考えていて、ニューヨークに事業所を置く予定でいた。

この出張の目的はその事前準備で、外国企業への反対の声をなるべく抑えるために権力者と親しくなっておくのが目的だ。

(早く明日の準備を終えてリビングに戻らないと)

たった数日なのに明日から会えないと思うと寂しくて、昴ともっと話しておきたかった。

急いでいるが皺にならないように気をつけてオフィススーツをたたんでいると、ドアがノックされた。

「絢乃さん、ちょっといい?」

「ええ。どうぞ入って」

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