鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
恋心を言葉で説明するのは難しいが、恋をしたらわかると秘書の大野に教わった。

昴を前にすると気持ちが乱れてしまうが、恋愛感情なのかどうかわからないということは違うのだろう。

(私には難しい)

愛し合う恋人や夫婦は、世界中にどれほどたくさんいるだろうか。

考えなくても普通に恋ができる人たちが羨ましかった。



翌日、絢乃を乗せた飛行機は成田空港を十一時に発ち、十二時間四十分後にニューヨークのリバティー国際空港に到着した。

日本との時差は十三時間なので、到着は出発時刻を二十分戻ることになる。

頭ではわかっていても最初は時差が不思議な感覚だった。

けれども海外出張を二十回ほど経験した今は、そういうものだとすんなり心で理解している。

荷物を宿泊先に預けると、社員三人を同行してすぐに仕事に取りかかる。

営業所を開設するにあたりサポート会社やマネジメント会社、弁護士事務所に依頼している。

それらを回り、大手リクルート会社にも足を運ぶ。

どれくらい雇用できるかをアピールして、うまく味方につけることができたように感じた。

あっという間に夕方になったが、まだ仕事は続く。

親日派の地元の政治家と会食してやっと一日目のスケジュールが終わった。

宿泊先のホテルに着いたのは、二十二時過ぎだ。

エレベーターを待っていると、社員のひとりがふらついた。

一番若い二十五歳の第三事業部の男性だ。

隣にいた三十代の男性社員が支えたけれど顔色が悪い。

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