鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
「本当よ。ラウンジであなたと女性を見た時、浮気かと思ってすごくショックだったの。嫉妬で泣きそうになったわ。あなたに他の女性がいてもいいと思えなかった。私だけの昴さんでいてほしくて、気づいたの。私、あなたを――」

まさに告白しようとしていたが、「待って」と慌てたように止められた。

「続きは顔を見ながら聞きたい。部屋で待っていてくれ」

「え、ええ。そうね。こんなところでごめんなさい」

落ち着かない気持ちで部屋に戻り、ルームライトのスイッチを探した。

それを押す間もなく、バスローブ姿の彼が部屋に戻ってくる。

「ずいぶん早いわね」

ダウンライトの弱い明かりの中、艶っぽい彼に鼓動が高まる。

額にはりついた濡れた髪を、手櫛で後ろに流す仕草も色っぽい。

それだけで平常心を失いそうだが、部屋の真ん中で昴に抱きしめられた。

「あっ……」

「君にその気があるうちに聞かないと」

彼の指が絢乃の顎をすくう。

「続きをどうぞ」

絢乃がなにを言おうとしていたのかがわかっているからか、余裕を取り戻している。

微笑する美麗な目に顔を覗き込まれては、恥ずかしくて言いにくい。

「わかってくれているようだし、言わなくてもいいんじゃないかしら」

「期待させておいてそれはひどいだろ」

「それもそうね。それじゃあ、言わせてもらうけど――んっ」

チュッと軽く口づけられて言わせてくれなかった。

「す、昴さん、言ってほしいんでしょ?」

「ああ。早く言って」

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