鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
昴は持参の弁当の包みを広げた。

冷やかされるのを気にして見られたくない人もいると思うが、昴は堂々としている。

妻と一緒に手作りした愛情たっぷりの弁当だ。むしろ自慢したい。

彩りのいい弁当にふたりの視線が向いた。

「愛妻弁当、うまそうだな」

「奥様はお料理上手な方なんですね」

微笑ましい目を向けられて、昴は胸を張った。

「俺も手伝ったよ。夫婦合作の弁当なんだ」

「昴くんが料理をするのか?」

「叔父さん、知らなかった? 結構うまいよ。今度ご馳走するから遊びに来てよ」

「新婚夫婦のお宅には行きにくいな。あてられそうだ」

叔父の冗談に笑ったあとは、弁当に詰められている総菜を一品ずつ紹介する。

「塩鮭とたこさんウィンナーは妻が焼いてくれた。卵焼きは俺。野菜のナムルとほうれん草のお浸しも。さつまいもの甘露煮は昨日のうちに俺が作って冷蔵庫に入れておいた」

「社長のご担当割合が多めですね」

秘書に指摘され、急いで絢乃をフォローする。

「妻がふたり分の弁当を詰めてくれたんだ。ご飯にのせた梅干しとごま塩のバランスが完璧だ。妻はセンスがいいんだよ」

本気でそう思って言ったのだが、ふたり同時に声を上げて笑われた。

「なにかおかしなことを言った?」

「すみません、違うんです。社長が奥様を大切に想っていらっしゃるのがすごく、すごーく伝わって来ましたもので。微笑ましいと言うと失礼かもしれませんが」

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