鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
帰国した日の夜、自宅で絢乃と顔を合わせ、無理をさせたと謝った。

『初めての君には酷な抱き方だった。本当にすまない』

『帰るだけだったから別にいいわよ。それに言わなければ、あれが普通だと思えたのに。昴さんは正直ね』

そっぽを向いた彼女の横顔が耳まで赤く、照れ隠しで強気な言い方をしているのが明らかだった。

そんな可愛い反応をされると、当然抱きたくなる。

二度目の夜も欲望をぶつけてしまったので、反省していないと思われたかもしれない。

(絢乃は寛大だ。嫌がるどころか、さらに俺を喜ばせてくれた――)

その翌日の朝、先に起きた絢乃がリビングで朝食を作ってくれていた。

すまし顔で『おはよう』と言った彼女の左手の薬指には、マリッジリングがはめられていて驚いた。

四か月ほど前に贈った時は、はめてくれなかった指輪だ。

『指輪は苦手じゃなかったのか?』

『ごめんなさい、あの時は夫婦を続ける気がなかったから、指輪をする必要性を感じなかったの。本当は苦手じゃないわ』

離婚を考えていたという暴露は、以前聞いていたので驚きはなかった。

『今は?』と問いかけながら、エプロン姿の彼女を背中から抱きしめた。

『もちろん一生夫婦を続けるわ』

『続けたい理由は?』

『なにを言わせたいの?』

首を捻って後ろを見ようとする妻も可愛い。

『愛してると言ってくれ』

『昨日の夜も言ったわよ』

『何度も聞きたい。俺は愛してるよ。絢乃は?』

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