鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
お揃いのリングをはめている手と手を重ね、指を絡ませた。

『朝は忙しいのよ』

怒ったように言った彼女だが、それも照れ隠しだとわかっている。

『私の方が愛してると思うわ』

そういって自然な笑みを浮かべたあとは、昴のキスを受け止めてくれた――。

弁当を食べながら妻との甘い時間を振り返っていると、会いたくなった。

今朝は一緒に自宅を出たので離れてからまだ四時間ほどしか経っていないというのに。

金曜の今日は早めに帰れそうだと聞いているので、一緒に夕食を取れるだろう。

土日の予定はまだ聞いていないが、絢乃の仕事の予定次第でデートに誘いたい。

隣で海老天を頬張っている秘書に声をかける。

「土日の俺のスケジュール、空けてくれたんだな。調整してくれてありがとう」

「平日のスケジュールが詰め込み気味になってしまいますが、その方がいいと勝手ながら思いまして。奥様がお忙しいと伺っていましたから」

土日の昴のスケジュールが空白なら、絢乃に合わせられるのでデートがしやすい。

夫婦がすれ違わないように考えてくれた担当秘書に感謝した。

「仕事も家庭も順風満帆だな」と叔父が肩を揺らす。

その通りだと頷いて、夫婦合作の愛情弁当を食べ終えた。

午後の業務を精力的にこなし、帰宅したのは十八時半だ。

秋に突入して日没は早まり、部屋の中は暗い。

絢乃はまだ帰宅していなかった。

通勤鞄を部屋に置いてリビングに入る。

スーツのジャケットを脱いでソファに置いたが、思い直して手に取った。

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