鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
朝一の会議を終えて社長室に戻り、ある人を呼び出した。
その人に注意しているとドアがノックされて絢乃だけ廊下に出たのだが、それが十時頃だったと思う。
社長室内で電話が鳴っていたが取れず、切れてから室内に戻ると――。
(唯華だわ)
執務机にお尻を半分のせて、受話器を持っていた妹を思い出した。
帰っていいかと父に内線電話をかけようとしていただけで、鳴っていた電話には出ていないと言われたが嘘だったようだ。
横を見ると、父が片手で額を押さえていた。
「唯華か……」
まがりなりにも父親なので、娘の声は聞き間違えないようだ。
もうひとり、唯華の声だとすぐに気づいた者がこの場にいた。
「この声は山城社長ではありません。山城唯華さんです。八月二十五日はインターンシップ中でした。勤務態度について社長から直々に注意が入り、その時間帯に唯華さんが社長室に行っていたのも覚えています」
そう証言したのは第二事業部で唯華の指導担当だった男性社員だ。
唯華の悪評は社内に広まっていたようで、他の社員たちも彼女ならやりかねないと言いたげな反応を見せている。
絢乃は立ち上がり、全員に向けて頭を下げた。
「妹を社長室内に残して離席した私に責任があります。誠に申し訳ございません。稲元社長も、失礼な発言をお詫びします。隠ぺい指示はあったものとしていただいて結構です」
「妹……?」
唯華を知らない稲元は怪訝そうだが、それでも言い分が認められたのにはホッとした様子で息をついていた。
その人に注意しているとドアがノックされて絢乃だけ廊下に出たのだが、それが十時頃だったと思う。
社長室内で電話が鳴っていたが取れず、切れてから室内に戻ると――。
(唯華だわ)
執務机にお尻を半分のせて、受話器を持っていた妹を思い出した。
帰っていいかと父に内線電話をかけようとしていただけで、鳴っていた電話には出ていないと言われたが嘘だったようだ。
横を見ると、父が片手で額を押さえていた。
「唯華か……」
まがりなりにも父親なので、娘の声は聞き間違えないようだ。
もうひとり、唯華の声だとすぐに気づいた者がこの場にいた。
「この声は山城社長ではありません。山城唯華さんです。八月二十五日はインターンシップ中でした。勤務態度について社長から直々に注意が入り、その時間帯に唯華さんが社長室に行っていたのも覚えています」
そう証言したのは第二事業部で唯華の指導担当だった男性社員だ。
唯華の悪評は社内に広まっていたようで、他の社員たちも彼女ならやりかねないと言いたげな反応を見せている。
絢乃は立ち上がり、全員に向けて頭を下げた。
「妹を社長室内に残して離席した私に責任があります。誠に申し訳ございません。稲元社長も、失礼な発言をお詫びします。隠ぺい指示はあったものとしていただいて結構です」
「妹……?」
唯華を知らない稲元は怪訝そうだが、それでも言い分が認められたのにはホッとした様子で息をついていた。