鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
(昴さんと話すと、エナジードリンクより元気になれる)

声を聞く前より会いたさも強まった気がして、それは困るが。

(すごく帰りたい)

もう限界だ。夜は帰宅すると決めて気合を入れ直し、リストにのっている次の取引先へと電話をかけた。

それから数時間が経ち、時刻は十八時になる。

担当秘書の大野を呼んで、謝罪の電話で訪問日が決まった数社の取引先のリストを渡した。

「これをスケジュールに入れておいて」

「承知いたしました。コーヒーをお持ちしますか?」

コーヒーカップが空なのに気づいた彼女に問われたが、断った。

「心配事は尽きないけど、今日は自宅に帰るわ」

すると大野がホッとしたような顔をした。

「お帰りになられた方がいいと私も思います。社長がいつ倒れてしまうかと心配でしたので」

この一週間、絢乃が倒れずにすんだのは大野のおかげかもしれない。

食べる時間がなくても半ば無理やりおにぎりやサンドイッチを口にさせられた。

いらないと言われたら従っていた今までの彼女の対応とは違う。

それだけ心配かけていたのだろう。

「大野さんに助けられたわ。ありがとう。あなたも疲れたでしょう。それが終わったら帰宅して、土日はゆっくりしてね」

「社長に比べれば私はなにもしていないに等しいです。孤軍奮闘されている社長には本当に頭が下がります」

「それは違うわ。社員一丸となって頑張ってくれている。社員の皆さんには心から感謝しているわ。その恩を私は経営で返していかないと」

< 217 / 237 >

この作品をシェア

pagetop