鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
父が責任を取ると言ったのは六日前だ。

ショックの波は引いているが、やはり今も喜べない。

やっと復讐を果たせるというのに、なぜこんなにも胸が重苦しいのかもわからないままだった。

自分の気持ちがわからなくて考え込んでいると、お風呂上がりの昴が部屋着姿でリビングに戻って来た。

「寝た方がいいんじゃない?」

時刻は二十一時半だ。

寝不足続きの絢乃を心配してくれる彼に、力なく微笑んだ。

「寝られそうにないの。次々と心配事が浮かんできて。少し、話し相手になってくれないかしら?」

「もちろん」

キッチンで水を飲んでから、昴が隣に腰を下ろした。

取引先の彼には会社の名でトラブルの詳細を知らせているが、公にしていないこともある。

それは唯華の関りで、他の現場と混同した父の勘違いの結果、誤った指示を下請け業者に出してしまったという発表にしていた。

機密事項としているが、昴を信頼して唯華の関与を打ち明けた。

「そうだったのか」

昴がやっと納得できたと言いたげな顔をした。

「山城会長がそのような指示をするとは思えなかったんだ。もちろん絢乃も。誰かをかばっているような気はしていた」

「唯華は社員じゃないから矢面に立たせられないのよ。かえって企業イメージが悪くなるという判断よ。かばっていたわけじゃないわ。いえ、かばわれたのは私なのかも。あの子を社長室に残して離席したのがすべての原因だから……」

何度後悔しても足りないほど自分を責めている。

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