鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
立花リアルエステイトは企業規模も年商も申し分のない合併相手だ。

合併を発表するだけで株価の回復が見込める。

山城建設にはありがたい話だが、本当に昴の側にメリットがあるのだろうか。

妻の窮地を救おうとしての身を切るような決断なら、やめてほしい。

社内では反対の声が上がるだろうし、悪くすれば昴が代表取締役の座を下ろされるかもしれないからだ。

そんなリスクを負わせられないので、頷けなかった。

すると彼が自信ありげに笑う。

「信じなよ。俺と絢乃自身を。俺たちは夫婦としてもビジネス相手としても最高のパートナーだ。ふたりでなら世界一の企業を作れるよ。必ず」

その実現はいったいいつ頃の未来だろうか。

何十年もかかりそうだが、それでも光が見えた気がして心が前向きに動きだした。

(新しい人生目標が見つかった……!)

「昴さん」

流れた涙のあとを両手で拭いて、心からの笑顔を向けた。

「信じるわ。あなたと私を。相性は最高だもの、きっとうまくいくはずよ」

「ああ」

昴が目を細めて頷いた。

彼の指が絢乃の顎に触れようとしていたが、その意図を汲めずにサッと立ち上がった。

「早速、合併について話し合いましょう。大枠を作っておいた方が、お互い社内に説明しやすいわ。ノートパソコンを部屋から持ってくるから待って――きゃっ」

不満げな彼に腕を引っ張られ、お尻をソファに落とした。

そのまま仰向けに倒され、彼の体半分が覆いかぶさる。

驚く絢乃の目に、ニッと口角を上げた彼が映った。
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