鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される

「早く寝た方がいいと思っていたけど、かなり元気そうだな」

欲情して潤む瞳に、蠱惑的に弧を描く唇。

急に色気を醸す彼が、ゆっくりと唇の距離を詰めてきた。

「待って。今は合併の話を進めたいのよ」

「それならまずは、絢乃の発言を確かめよう」

「え?」

「『相性は最高だもの、きっとうまくいく』と君は言った。成功に繋がる理由が相性なら、最初に検証しておいた方がいい。リスク回避だよ」

「待っ――」

唇を奪われてなにも言えなくなる。

(ビジネスの話とごちゃまぜにしないでよ)

心の中で文句を言ったが、夢中で絢乃を味わっている様子に絆される。

(もしかして寂しかったの?)

問題発覚からの一週間、昴は心配しながらも絢乃の状況を察し、連絡せずにじっと待っていてくれたのだろう。

経過した日数よりも長く妻の不在を感じたかもしれない。

やっと会えた気分なら、こうして強引に求めてくるのもわかるような気がした。

(私も会いたかったわ。昴さんの腕の中はホッとする。自分の居場所に帰ってこられた気がして、力が抜けて……)

「絢乃? まさか、寝てる?」

夢と現の間をゆっくりと意識が下りていく。

「寝ていたら、俺の好きに抱くよ?」

脅すように言われても返事ができず、まぶたも開けられない。

「俺はそんなに安全な男に見えるのか……?」

ショックを受けているような独り言を聞いたあとは、完全に意識を手放した。

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