鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
そして今日、グループ会社化を記念してのパーティーを催した。
取引先関係者だけではなく、今後のビジネス展開を考えて経済界の方々から客を招いている。
その数は約千人で立食形式だ。
壇上で挨拶してから二時間が経ちそろそろ終わろうとしているが、まだ招待客全員と握手できずにいた。
(金束商事の会長はどこかしら? HEC技研の社長とも話しておかないと)
会場内を見回していると、五メートルほど先にいるネイビースーツの見目好い男性と視線がぶつかった。昴だ。
彼もホストなので、挨拶回りに忙しい。
どちらからともなく歩み寄り、「おつかれさま」と小声で労い合う。
「昴さん、金束商事の会長さんを見なかった?」
「少し前に途中退席の挨拶を受けたよ」
「私も挨拶しておきたかったわ」
「さすがに招待客が多すぎたな」
「そうね。欲張らない方がよかったかもしれない。反省を次に生かしましょう」
お互いに一瞬、素の疲れた顔をさらしてしまい、同時に吹き出した。
「全員と握手をするのは諦めるわ」
「そうしよう。壇上で締めの挨拶をする前に、お義父さんと話しておこうか」
「ええ」
父は現在、元会長だ。
山城建設の経営からは完全に退いている。
心配であれこれ口出ししてくるだろうと思っていたが、三か月前の辞任時に『あとは絢乃にすべてを任せる』と言った通り連絡してくることはなく、このパーティーへの招待も最初は断ってきたほどだ。
それを説得して出席させたのは昴だった。
取引先関係者だけではなく、今後のビジネス展開を考えて経済界の方々から客を招いている。
その数は約千人で立食形式だ。
壇上で挨拶してから二時間が経ちそろそろ終わろうとしているが、まだ招待客全員と握手できずにいた。
(金束商事の会長はどこかしら? HEC技研の社長とも話しておかないと)
会場内を見回していると、五メートルほど先にいるネイビースーツの見目好い男性と視線がぶつかった。昴だ。
彼もホストなので、挨拶回りに忙しい。
どちらからともなく歩み寄り、「おつかれさま」と小声で労い合う。
「昴さん、金束商事の会長さんを見なかった?」
「少し前に途中退席の挨拶を受けたよ」
「私も挨拶しておきたかったわ」
「さすがに招待客が多すぎたな」
「そうね。欲張らない方がよかったかもしれない。反省を次に生かしましょう」
お互いに一瞬、素の疲れた顔をさらしてしまい、同時に吹き出した。
「全員と握手をするのは諦めるわ」
「そうしよう。壇上で締めの挨拶をする前に、お義父さんと話しておこうか」
「ええ」
父は現在、元会長だ。
山城建設の経営からは完全に退いている。
心配であれこれ口出ししてくるだろうと思っていたが、三か月前の辞任時に『あとは絢乃にすべてを任せる』と言った通り連絡してくることはなく、このパーティーへの招待も最初は断ってきたほどだ。
それを説得して出席させたのは昴だった。