鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
するとリビングはめちゃくちゃで、床には割れたカップやガラスの破片が散乱し、スリッパをはいていなければ歩けないほどの状況だった。

ソファの陰に隠れている父に、唯華がアンティークのテーブルランプを投げつけようとしており、慌てて昴が取り上げた。

「唯華、話を聞くから落ち着いて」

「落ち着けるわけないでしょ! パパが勘当するって、損失三百臆をどうするんだって、そんなの知らないわよ。お姉ちゃんの代わりに電話に出てあげただけなのに、悪者にしないでよ!」

泣き崩れた唯華を宥めてソファに座らせ、父と四人でテーブルを囲んだ。

父はもう唯華を甘やかさないことにしたようで、アルバイトでもいいから自分で働いて稼ぐように言ったそうだ。

今後はクレジットカードも、父の銀行口座と紐づけた電子マネーも使わせないと言われても、唯華が納得するはずはない。

口論の末に『勘当だ。この家から出て行け!』となったらしい。

唯華が可愛くないわけではなく、今ならまだ更生に間に合うかもしれないと思ったからだろう。

言い方を変えると、今突き放さなければ一生ワガママで傍若無人な性格のままだという危機感だ。

誰からも愛されない悲しい人生を送らせたくなかったのだと察した。

それが親の愛情だと教えてあげても、唯華には少しも理解できなかったようだが。

ひどい仕打ちだと泣くばかりの唯華を三人がかりで説得していると、自室に逃げていた継母がリビングにやってきた。

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