鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
味方が現れると唯華がまたヒートアップし、継母も援護射撃に力を入れる。

『勘当ですって? 唯華になんて可哀想なことを言うのよ。撤回しないなら私もこの家を出て行くわ。それでもいいの?』

『勘違いするな。お前への愛情はとうに尽きている。離婚しよう。一週間以内にふたりでこの家を出て行け』

継母と唯華が両手をついて謝っても、父の決断は硬かった――。

「お義父さん」

昴が呼びかけると、父がこちらに振り向いた。

「ご苦労さん。いい式典だったな」

「ありがとうございます。お知り合いとゆっくり話せましたか?」

「少しな。私に声をかけにくいのはわかっているさ」

力のない笑い方で心配になる。

水沢が引き続き雇用されて父のマンションで通いの家政婦をしているそうだが、ひとりぼっちで過ごす時間は離婚前よりかなり長いはずだ。

仕事も家族もなく、寂しいのではないだろうか。

「お母さんと唯華はどうしているの?」

思わず気になっていたことを問いかけると、父が首を横に振った。

知らないという意味だろう。

当分の間は離婚時の財産分与で暮らしていけるはずだが、これまで父の稼ぎを湯水のごとく使っていたふたりだから、たった数年で使い切ってしまいそうな予感もした。

「娘は絢乃だけでいい」

そう言われて眉根を寄せた。

唯華だけを可愛がっていたくせに、今さら上辺だけの愛情を示されても不快に思うだけだ。

絢乃が心を閉ざそうとするのが見えたかのように、昴が口を挟む。

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