鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
(私たちはいつもこんな感じよ。夫婦だもの、いいわよね)

レセプションパーティーが終了して三時間ほどが経つ。

夕食時には少し早いが、自宅のダイニングテーブルで夫婦は熱々のたこ焼きを頬張っていた。

プレートの半分は焼き上がっているたこ焼きがのっていて、もう半分は今、具材と生地を入れたところだ。

ピックでくるくると手早くたこ焼きを丸める絢乃を、昴が微笑ましそうに見ている。

「うまくなったな」

「そうね。たこ焼きには自信があるわ」

得意げに答えた途端に、失敗して形を崩してしまった。

「自信?」とすかさず昴にツッコミを入れられた。

「いいのよ。たこ焼きはてきとうに焼いた方が美味しいわ。楽しく食べられればいいと教えてくれたのはあなたよ」

「言い訳もうまくなったな」

声を上げて笑われた時、絢乃の私用の携帯が鳴った。

「どうぞ」

聞く前に昴が電話に出るよう言ってくれて、ソファ前に移動した絢乃はローテーブルに手を伸ばした。

画面に表示された和志の名に目を丸くする。

美沙に泣かれたあの日以降、三条家を訪ねていない。

母の月命日に供花と供物、線香を送らせてもらっているだけだ。

和志と最後に話したのは昴とバーで飲んでいたのを目撃した時で、八か月ほど経っている。

三条家との縁が切れた気分で寂しかったが、昴と本物の夫婦になれたと実感してからはその気持ちも忘れていた。

けれども和志の名前を見ると、声を聞ける喜びが一気に膨らんだ。

「はい、絢乃で――」

「生まれた!」
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