鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
指輪をしていると絢乃をビジネス相手ではなく、妻として意識できる気がするからだ。

絢乃は指に通してもくれなかったが、指輪自体が苦手なら仕方ない。

マリッジリングが理由で結婚に気づかれたと思ったが、よく考えるとなぜ新婚であることまで見抜いたのだろうか。

焼き鳥を頬張る和志が、もったいぶるような間を置いて打ち明ける。

「去年の秋に連絡取ろうとしたのは、彼女を自慢したかっただけじゃないぞ。山城絢乃の結婚相手がお前だって聞いたからだ」

「知り合いだったのか……?」

和志の勤め先と山城建設のビジネス上の接点を思いつけない。

それなら友人かと思ったが、クールな妻と陽気な和志は気が合いそうにないと感じた。

(どんな関係だ?)

驚きと疑問が顔に表れていたのか、和志が吹き出し暴露する。

「絢乃は従妹なんだ。絢乃の母ちゃんが俺の親父の妹なの。俺、今も実家に住んでるんだけど、絢乃がよく遊びに来るから昴との結婚話も聞いてたわけ」

「そうだったのか。驚いた」

友人と妻が親戚だったという話はそこまで珍しくないと思うが、ふたりの雰囲気が真逆と言っていいほど違うのでしっくりこない。

(それとも絢乃さんは、和志の前ではもっとラフに話すんだろうか?)

想像しにくいが、子供の頃からの付き合いならそうなのだろう。

「驚いたのはこっちだよ。まさかお前が絢乃と結婚するとはな」

「俺たちの関係を、絢乃さんは知っているのか?」

妻からはなにも言われていないので気になった。

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