鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
母が生きていた頃、どんどん悪化する父との夫婦関係を子供ながらに心配していた。
母亡き後に再婚した父と継母の夫婦関係は良好なようだが、絢乃の目にはまがまがしいもののように映る。
もちろん世界には支え合い愛し合うすてきな夫婦が大勢いるのだろう。
それはわかっているが、自分がなれるとは思えなかった。
広い大理石張りの玄関でパンプスを履くと、気持ちが静かに戦闘モードに入る。
(私にできるのは目標に向けて前進することだけよ)
出社してからの時間はあっという間に過ぎ、イレギュラーの仕事が入ったため昼食をとる暇もなく時刻は十四時四十分になっていた。
社長室の執務椅子に座る絢乃の目の前に、濃紺のスーツを着た五十代の男性が顔を強ばらせて立っている。
彼は営業部の部長で、先ほどまで絢乃と一緒に大手取引先に出向いていた。
こちらのミスで迷惑をかけてしまったため、謝罪をしに行ったのだ。
ここのところなぜかあちこちの部署でトラブルが発生する。
叱りすぎて疲れ、もう溜息しか出てこない。
「下がっていいわよ」
「はい。このたびは誠に申し訳ございませんでした」
深々と腰を折った営業部の部長が、逃げるように退室した。
それを見計らったかのように担当秘書の大野から内線電話がかかってきた。
『昼食を取られますか?』
「いらないわ。悪いけど今日もそちらで処分してもらえる?」
母亡き後に再婚した父と継母の夫婦関係は良好なようだが、絢乃の目にはまがまがしいもののように映る。
もちろん世界には支え合い愛し合うすてきな夫婦が大勢いるのだろう。
それはわかっているが、自分がなれるとは思えなかった。
広い大理石張りの玄関でパンプスを履くと、気持ちが静かに戦闘モードに入る。
(私にできるのは目標に向けて前進することだけよ)
出社してからの時間はあっという間に過ぎ、イレギュラーの仕事が入ったため昼食をとる暇もなく時刻は十四時四十分になっていた。
社長室の執務椅子に座る絢乃の目の前に、濃紺のスーツを着た五十代の男性が顔を強ばらせて立っている。
彼は営業部の部長で、先ほどまで絢乃と一緒に大手取引先に出向いていた。
こちらのミスで迷惑をかけてしまったため、謝罪をしに行ったのだ。
ここのところなぜかあちこちの部署でトラブルが発生する。
叱りすぎて疲れ、もう溜息しか出てこない。
「下がっていいわよ」
「はい。このたびは誠に申し訳ございませんでした」
深々と腰を折った営業部の部長が、逃げるように退室した。
それを見計らったかのように担当秘書の大野から内線電話がかかってきた。
『昼食を取られますか?』
「いらないわ。悪いけど今日もそちらで処分してもらえる?」