鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
アルバイトで稼いだお金でお洒落を楽しんだり、交友費にあてたりしていた女子大生たちを、親のすねかじりの自分が批判する資格はない気がした。
「私の学生時代って、甘かったようだわ」
自嘲気味に言うと、昴が真顔になる。
「少しも甘くないよ。子供の頃に母親を亡くしたんだろ?」
「知ってたの?」
今の生活に関係ないので教える必要がないと思っていたが、父が話したのだろうか。
そう思ったが、絢乃からのメールで気づいたと指摘された。
先週送ったメールに帰宅が遅くなるという連絡に加え、月命日に母の実家へ行くという翌日の予定も書いたのを思い出した。
「そうだったわね。実母は私が十一歳の時に病気で亡くなっているの」
教育に厳しすぎる父に母は何度も『絢乃はまだ子供なのよ』と言って守ってくれた。
優しく温かく包んでくれた母を亡くした時の絶望感は、思い出すだけで胸が苦しい。
後妻に入った継母と、突然できた妹とはうまく付き合えなかった。
社会人になって家を出るまでふたりに嫌がらせされる日々だったが、昴はそこまで知った上で『少しも甘くない』と言ったわけではないだろう。
(親を亡くした子供は可哀想。そういう一般的な同情よね)
苦労話が聞きたいからなのか、昴が無言で見つめてくる。
けれども話す気になれない。
所詮はビジネス婚の相手なのだから。
「私の学生時代って、甘かったようだわ」
自嘲気味に言うと、昴が真顔になる。
「少しも甘くないよ。子供の頃に母親を亡くしたんだろ?」
「知ってたの?」
今の生活に関係ないので教える必要がないと思っていたが、父が話したのだろうか。
そう思ったが、絢乃からのメールで気づいたと指摘された。
先週送ったメールに帰宅が遅くなるという連絡に加え、月命日に母の実家へ行くという翌日の予定も書いたのを思い出した。
「そうだったわね。実母は私が十一歳の時に病気で亡くなっているの」
教育に厳しすぎる父に母は何度も『絢乃はまだ子供なのよ』と言って守ってくれた。
優しく温かく包んでくれた母を亡くした時の絶望感は、思い出すだけで胸が苦しい。
後妻に入った継母と、突然できた妹とはうまく付き合えなかった。
社会人になって家を出るまでふたりに嫌がらせされる日々だったが、昴はそこまで知った上で『少しも甘くない』と言ったわけではないだろう。
(親を亡くした子供は可哀想。そういう一般的な同情よね)
苦労話が聞きたいからなのか、昴が無言で見つめてくる。
けれども話す気になれない。
所詮はビジネス婚の相手なのだから。