鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
「妊娠二か月よ。それでね、来月から美沙さんもこの家で一緒に暮らす話をしていたの。楽しくなるわ。驚いた?」

驚きすぎて言葉が出ない。

(お兄ちゃんに赤ちゃん? ということは私は叔母さんで……あ、従妹だから違うわね。それでも気持ちは叔母さんよ。絶対に可愛い子が生まれるわ。どうしよう、なんでも買ってあげたくなる)

あふれそうな喜びを美沙に向ける。

「おめでとうございます。私もとても嬉しいです。お調子者の兄ですが、どうぞよろしくお願いします。もし兄がなにかしでかしたら私が厳しく注意しますので、なんでもご相談ください」

和志は優しいが、調子に乗って話しているうちに相手の気持ちを置き去りにしてしまうところがある。

「なにをしでかすって? 俺ほど誠実な男はいないから心配無用だ」

キメ顔をして見せた和志をみんなが笑ったが、美沙だけ心ここにあらずといった雰囲気だ。

「美沙さん、体調はどうなんですか?」

つわりで具合が悪いのではないかと思い心配すると、美沙がハッと我に返ったような顔をした。

「つわりはつらいと聞くので覚悟していたんですけど、私の場合ほとんどなくて。眠たくなるくらいなんです」

「そうですか。よかったですね」

食欲もあるということだろう。

和志が「いっぱい食べな」と美沙の取り皿に牛肉を入れていた。

「絢乃ちゃんも座って。今、ご飯をよそうわね」

「自分でするわ。伯母さんこそ座って」

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