鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
せっかくプレゼントしてくれても、自宅にあるものと被ってしまう可能性があった。

アクセサリーは時と場合によりつけるけれど、普段は好んで使わない。

一緒に暮らしている中で、それをわかってくれたようだ。

洋服も香水も好みがあるだろうからと悩んでいると、エプロンが目についたという。

「多少、好みと違っても使ってもらえそうだと思ったんだ。それに俺のだと大きいだろ?」

そのうち買おうと思いながらもまだ昴のものを借りていたので、このエプロンは早速今日から活躍しそうだ。

(そんなに迷って考えて、お土産を選んでくれたんだ……)

心がじんわりと温まる。

使わない高級ジュエリーを送られるより、ずっと嬉しい。

自分のことをわかってくれていると感じて、前より昴を身近に感じた。

その心境の変化に戸惑う。

(ビジネス婚の相手なのに……)

すると昴に勘違いされる。

「やっぱりエプロンじゃ喜ばせられないか。ミスチョイスだった。ごめん」

「あっ、違うの。言葉が出ないくらいに嬉しかったのよ。こんなに心のこもったプレゼントをもらうのは初めてで。ありがとう。大切に使わせてもらうわ」

ホッとしたような彼の笑みを見て、絢乃も口角を上げる。

「早速、着てみようかしら――あっ」

エプロンを広げる際に、片手に持っていたマスコット人形を落としてしまった。

残念な出来栄えだと言ってハードルを下げてから渡そうと思っていたのに、先に昴に拾われた。

思わずエプロンで顔を隠す。

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