鉄の女社長は離婚したいのに人たらし御曹司に溺愛される
「昴さん、これから三条家にお参りに行ってくるわ。美沙さんとも話すつもり」

緊張が顔に表れていたのか心配される。

「やっぱり俺も行こうか? 口は出さないから」

「ひとりで行くわ。大丈夫よ」

「そうか……」

膝下丈のタイトスカートとブラウスに急いで着替え、鍔が広い帽子をかぶって家を出た。

夏の強烈な日差しが肌を刺す。

近所でお供えの花と菓子折りを買い、タクシーで三条家に向かった。

着いたのは十六時だ。

「絢乃ちゃん、いらっしゃい。遅かったから心配していたのよ」

伯母にはお昼過ぎにと伝えていた。

「ごめんなさい。時間を忘れてお裁縫をしていたから」

「そんな趣味があったの?」

「始めたばかりなの。不器用だけど楽しいわ。マスコット人形を作ったのよ」

「あら、いいわね。私も若い頃にやったわ。久しぶりにまた作ろうかしら。一緒にやらない?」

嬉しい誘いだが今は頷けず、「時間があるかしら……」と返事を濁す。

今後も変わらずこの家に遊びに来られるかは、美沙の気持ち次第だ。

「お邪魔します」

パンプスを脱いで上がり、美沙の居場所を気にした。

「伯母さん、美沙さんは?」

「自分の部屋でお昼寝してるんじゃないかしら。すごく眠たいんですって。私も和志がお腹にいた時、そうだったからわかるわ。でもせっかく絢乃ちゃんが来てくれたんだから、声をかけるわね」

「伯母さん、待って。自然に目が覚めるまで待つから」

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