イケメンIT社長に求婚されました ―からだ目当て?……なのに、溺愛が止まりません!―
「Velvet、すごい勢いでユーザー数戻ってきてます!」
月曜朝の全体ミーティング。
開発部から報告されたその一言に、社内がざわめいた。
「AIなのに、ちゃんと寄り添ってくれるって感想、SNSにあふれてますよ」
「まさかのV字回復……奇跡だね」
「奇跡じゃない。積み重ねたものの結果だよ」
静かにそう言ったのは、社長だった。
その声に、一瞬みんなが口をつぐむ。
けれどそのあと──
まるで光が差し込んだみたいに、空気があたたかくなった。
「社長の背中、なんか久しぶりに真っ直ぐ見えた気がする」
そんな声が、小さく聞こえてきた。
(ほんとに……よかった)
私は心の中で、そっと手を合わせた。
*
その日の午後、私は新たに任されたプロジェクトの準備に追われていた。
正社員になってからというもの、
責任あるポジションで仕事を任されることが増えた。
資料の確認、外部企業との調整、
社内AIカスタマイズの要望集約──
忙しくて息が詰まりそうな瞬間もあるけれど、
今の私は、確かに「このチームの一員」になっていた。
(戻ってきて、よかった)
そう思えるたびに、
胸の奥がじんわりあたたかくなる。
「望月さん、ここの文言、すごく自然ですね。
ユーザー目線ってこういうことなんだなって思いました」
チームリーダーにそう言われて、
思わず「ありがとうございます」と頭を下げた。
そのとき。
「そのセンス、俺が惚れた理由のひとつだな」
背後から聞こえた声に、
心臓が跳ねた。
振り返ると、そこには社長が立っていた。
ただの冗談──のはずなのに、
彼の目がまっすぐすぎて、笑えなかった。
「社長……! ここ、業務中です……!」
耳まで熱くなる私に、
社長は口元だけで笑ってみせた。
「業務中だからこそ、信頼も伝えておかないと」
それが、「恋人」と「同僚」の間に立つ社長なりのけじめなのだと、
なんとなくわかった。
誰よりも冷静で、厳しくて、
でも、誰よりも人を信じている。
私も、その目で見られていた。
恋人としてではなく──
ちゃんと、ひとりの社会人として。
「あとで、会議室に来てくれる?
少し、ふたりで話したいことがある」
「……はい」
頷くと、社長は静かに去っていった。
(仕事の話なのか、私たちの話なのか──)
どちらにしても、
私はもう、逃げるつもりなんてなかった。
この人と歩くって決めたから。
恋人として、そして仲間として。
月曜朝の全体ミーティング。
開発部から報告されたその一言に、社内がざわめいた。
「AIなのに、ちゃんと寄り添ってくれるって感想、SNSにあふれてますよ」
「まさかのV字回復……奇跡だね」
「奇跡じゃない。積み重ねたものの結果だよ」
静かにそう言ったのは、社長だった。
その声に、一瞬みんなが口をつぐむ。
けれどそのあと──
まるで光が差し込んだみたいに、空気があたたかくなった。
「社長の背中、なんか久しぶりに真っ直ぐ見えた気がする」
そんな声が、小さく聞こえてきた。
(ほんとに……よかった)
私は心の中で、そっと手を合わせた。
*
その日の午後、私は新たに任されたプロジェクトの準備に追われていた。
正社員になってからというもの、
責任あるポジションで仕事を任されることが増えた。
資料の確認、外部企業との調整、
社内AIカスタマイズの要望集約──
忙しくて息が詰まりそうな瞬間もあるけれど、
今の私は、確かに「このチームの一員」になっていた。
(戻ってきて、よかった)
そう思えるたびに、
胸の奥がじんわりあたたかくなる。
「望月さん、ここの文言、すごく自然ですね。
ユーザー目線ってこういうことなんだなって思いました」
チームリーダーにそう言われて、
思わず「ありがとうございます」と頭を下げた。
そのとき。
「そのセンス、俺が惚れた理由のひとつだな」
背後から聞こえた声に、
心臓が跳ねた。
振り返ると、そこには社長が立っていた。
ただの冗談──のはずなのに、
彼の目がまっすぐすぎて、笑えなかった。
「社長……! ここ、業務中です……!」
耳まで熱くなる私に、
社長は口元だけで笑ってみせた。
「業務中だからこそ、信頼も伝えておかないと」
それが、「恋人」と「同僚」の間に立つ社長なりのけじめなのだと、
なんとなくわかった。
誰よりも冷静で、厳しくて、
でも、誰よりも人を信じている。
私も、その目で見られていた。
恋人としてではなく──
ちゃんと、ひとりの社会人として。
「あとで、会議室に来てくれる?
少し、ふたりで話したいことがある」
「……はい」
頷くと、社長は静かに去っていった。
(仕事の話なのか、私たちの話なのか──)
どちらにしても、
私はもう、逃げるつもりなんてなかった。
この人と歩くって決めたから。
恋人として、そして仲間として。