酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
交番の一角、書類の広げられたテーブルを囲み、打ち合わせが始まった。

新宿署の広報担当が中心となり、密着取材に関する基本方針やスケジュール、撮影のルールなどが確認される。

奈緒は資料を指し示しながら、必要なポイントを丁寧に説明していく。

「無理のない範囲で、現場の空気をリアルに伝えることが目的です。地域課の活動の一端を、視聴者や読者に届けたいと思っています」

真剣な口調に、杉崎が「それじゃ、俺もカッコよく映らないとですね」と軽口を挟み、場が少し和む。

奈緒も笑顔を浮かべながら、「現場の姿が一番カッコいいんですよ」と返す。

表情豊かに、時に目を見てしっかり話し、時に軽く笑顔を添えながら、丁寧に会話を重ねる奈緒。

その自然な姿勢に、瀬戸が何度か静かに頷き、奈緒へと視線を向ける場面があった。

短くも真剣なその眼差し。

奈緒はその度に、胸の奥がきゅっと音を立てるような気がした。

どうしても、抑えきれない。

視線が合っただけで、頷かれただけで、心が高鳴ってしまう。

(やっぱり、イケメン……)

制服越しでも伝わる落ち着いた佇まい。

真剣な眼差しと、ふとしたときに見せる柔らかな笑顔。

そのギャップが、奈緒の胸を何度も優しくかき乱した。

少しだけ、自分の素直さに呆れそうになる。
でも、止められなかった。

自然と溢れてしまうこの笑みは、もう、誰にも止められない。
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