酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
交番に戻ってきた時には、時刻はすでに午後2時を回っていた。

冬の陽はまだ高かったが、体の芯に少しずつ疲れが染み始めていた。

テレビクルーのひとり、田辺がカップ麺を見つめながら苦笑いする。

麺はすっかり伸び切っていて、箸で持ち上げてもずるずると垂れ下がっていた。

「麺類食べると、途中で通報入るジンクスあるんですよ」
川合はそう言って笑い、取材班の他のスタッフたちも小さく頷いていた。

奈緒も思わず笑ったが、その視線の先に瀬戸の姿が映ると、ふっと表情が曇る。

瀬戸は、さきほど途中で閉じたままの弁当を、再び静かに開けて箸を手に取っていた。

落ち着いた表情で食べ進めていく姿に、特別な仕草は何ひとつない。

ただ、それだけなのに、胸の奥がちくりと痛んだ。

あの弁当は、やっぱり誰かの手作りなのかもしれない。
そんな思いが、声にならないまま心に沈んでいく。

「初日から、こんなんじゃ心がもたないな……」

そうつぶやきながら、奈緒は自分のスープジャーの蓋を開け、冷えたご飯に箸をつけた。

味はちゃんと感じるはずなのに、どこかぼんやりしていた。
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