酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
するとその瞬間、交番内に無線の音が響いた。

「新宿東口交番、至急。5丁目交差点付近、高齢者の徘徊。身元不明、保護者不在。現場確認と保護対応、お願いします。」

瀬戸はすっと立ち上がり、「行きます」と短く応える。

その声に反応して、テレビクルーたちもすぐに機材を抱えて後に続いた。

奈緒も顔を上げ、立ち上がろうとすると、

「水原さーん、あなたはお留守番よー」

川合がにこやかに、けれどはっきりと静止の声をかけた。

奈緒は少し口元を歪めて、「ですよね。ご迷惑かけるわけにはいかないので」と応じ、座り直す。

「僕たち行ってくるんで、任せてください」とテレビクルーのひとりが手を挙げて言い、次々と交番を出ていく。

奈緒はその背中を見送りながら、ふと視線を感じて顔を上げた。

そこには川合が、じっと奈緒を見ていた。

「なんですか?」と尋ねると、川合はニヤリと笑って、

「水原さんさ、瀬戸のことどう思ってんの?」

「どうって、どういうことですか?」と奈緒が答えると、

「いや、なんでもない」

川合はそう言い残して、ひょいと席を立ち、奥の部屋へと姿を消した。
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