酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
しばらくして、入り口のドアが開く音がして、視線が自然とそちらに向かう。

制服ではない、カジュアルなシャツにジャケット姿の瀬戸が現れた。

途端に川合さんが奈緒の背中をツンと軽く押す。

「ほら来たよ」

奈緒はドキリとして思わず姿勢を正した。

なんで背筋がこんなにピンとなってるの、私。と心の中で自分にツッコミを入れながら、
緊張で手元のグラスをぎゅっと握りしめた。

瀬戸は皆に軽く会釈しながら、空いていた奈緒の隣の席に迷いなく腰を下ろす。

それだけなのに、奈緒の心臓はドラムのようにドクドクと鳴っていた。

「こんばんは、水原さん。お疲れさまです」

普段と変わらない穏やかな声。

なのに奈緒は「あ、え、はい、お疲れさまです……!」とやたら噛んだ返事をしてしまい、
すぐさま自分のグラスを持ち上げて飲んでもいない中身をすするフリをした。

「なに緊張してんの~?」と反対側に座っていた杉崎がニヤニヤと笑い、
「瀬戸、私服似合うじゃん」と誰かが茶々を入れると、

「おいおい、ほら、あんまりいじると水原さん倒れるぞ」と川合が面白そうに肩を揺らして笑う。

奈緒は顔を伏せてグラスの中身を見つめながら、
「……なんかもう、いっそ倒れたい……」と小さく呟いた。

その呟きすらも、茶目っ気たっぷりに笑い合う警察官たちの中に、
ふんわりと溶けていった。
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