酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
春からも近くで働ける――。
それだけの言葉が、奈緒の胸に小さな灯をともす。

たった一駅、されど一駅。

「ほっつき歩いてる」という曖昧な表現に、どこか瀬戸らしい不器用な優しさを感じて、
奈緒は胸の奥がふわっと温かくなるのを感じた。

もしかして――なんて、期待しちゃダメ。

だけど、もしかして。

この距離は、終わりじゃないのかもしれない。

そんなことを思った瞬間、奈緒は自分の心が甘くておかしくて、恥ずかしくなった。

もう、いい加減にしてよ自分、なんでこんなに顔が熱いの?

でも、この気持ちはたぶん、ちゃんと大事にしてあげたい。

「……んーっ!」と、小さく気合を入れて、奈緒は勢いよくグラスを手に取った。

そして、ぐいっと一気に飲み干す。

その様子を見ていた周囲の警察官たちは、ちらりと目を合わせ、誰からともなく言葉を交わした。

「おい、今の見たか……」
「やばいやつ来た……」
「うわー……飲み方がまずい……」

全員が「これはまずいぞ……」という顔で、そっと距離を取りながら、見守り体勢に入った。
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