酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
瀬戸が、ふと真剣な顔をして言った。

「今日は酔っちゃってるので、酔いが醒めたら――そう遠くない日に、またお話ししましょうか」

そして少しだけ笑って、「霞が関に行くなら、難しいことじゃないですし」と続けた。

奈緒の胸に、ふわりとあたたかな風が吹いた気がした。

瀬戸のその言葉は、まるで未来に続く道しるべのように感じられた。

大きな望みを抱いてしまう。

こんなに簡単に、心って持ち上がるものなんだと、ちょっと呆れるくらいに。

初めて、お酒で失敗してよかったかも――なんて、くだらないことを思ってしまった。

そのとき松崎が、
「あー僕の瀬戸さん、水原さんに取られちゃうのか~」と空気の読めないことを口にして。

すぐに川合さんに机の下で思いきり蹴られて、「うっ」と小さくうめき声を漏らしていた。

瀬戸は、微笑を浮かべたまま奈緒に視線を向けて、
「それでいいですか?」と、静かに聞いた。

奈緒は、涙の痕が少し残る顔で、でもしっかりと笑って、
「はい」とクシャっと笑って見せた。
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