酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
「瀬戸さん、絶対付き合ったら可愛がるタイプね」
都丸がぽそっと言うと、奈緒はフォークを止めて顔を上げた。

「そうなんですかね……」
口元を手で隠しながら照れ笑いを浮かべる。

花夏はコクリと頷いた。
「うん、話を聞く限り、根っから優しいタイプだと思う。だって奈緒だけじゃなくて、市民の泥酔者にも優しいんでしょ?」

「そうですけど……」

「なら、特別な存在になったとき、無制限に溺愛されちゃうんじゃない?」
都丸と花夏の目が同時に輝く。

奈緒は思わず顔を両手で覆った。
都丸もつられるように「キュンキュンしちゃう……」と胸の前で手を組む。

花夏はスプーンを置いて、真剣な顔になる。
「ちゃんと遠慮せずに甘えるんだよ。お酒に頼らないで、そう言うのが男は一番くるんだからね」

「……うん」

「それに、甘えた顔、お酒飲んで人に見せてない?付き合ったら、瀬戸さん以外の前ではそういう顔しちゃダメよ」

奈緒は一瞬で、その言葉に心当たりが蘇った。
あの夜、瀬戸に「そういう顔やめたほうがいいですよ。連れ込まれますよ」と真剣に言われたことが、脳裏によみがえる。

……あれ、たぶん、そういう顔だ。

「……うん、わかってる」
そう言って、体温を下げるように氷の入った水を手に取り、ひとくち飲み込んだ。

胸の内側に、冷たい水とは真逆の、熱を帯びた感情がじんわりと広がっていた。
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