酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
自席に戻ると、ようやく一息つけた。
パソコンを開いたものの、指はキーボードの上で止まったままだった。

さっきまでの会話が頭の中でリフレインしていた。
甘えた顔、とか、連れ込まれますよ、とか……。

自分の無防備すぎる態度を思い出して、奈緒は小さくため息をついた。

やっぱりだらしないよね。

外で飲むのは節制しないと、何かあってからじゃ遅い。

記者としても大人としても、もうちょっと落ち着いた振る舞いをしないと。

でも――。

明日、瀬戸さんと会えるんだ。

それを思うだけで、胸が高鳴って、指先がじんと熱くなった。

どこで待ち合わせしよう。
何を着ていこう。
何を話そう。

どんな顔をして現れてくれるんだろう。

ちゃんと「昨日のこと」は、覚えてくれているんだろうか。

……いや、忘れてたらそれはそれで、助かる気もするけど。

奈緒は頬を軽く叩いて、気を取り直した。
明日、恥ずかしくない自分で会いたい。

そう思って、仕事に集中しようとモニターに目を戻した。

けれど心の中では、明日の午後の予定が、もうずっと再生されていた。
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