酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
瀬戸の「もちろんです」という返事が、妙に胸に響いた。

ふたりの間に静かな時間が流れる。

けれど、その静けさは居心地がよかった。

奈緒は頬に手を当てて、熱を冷ますようにしながら水を一口飲んだ。

瀬戸は、そんな奈緒をじっと見ていた。

「……僕」
瀬戸が口を開く。
声は少し低く、でもやわらかかった。

「昨日、あなたに“凶器”だって言われたとき、本当に驚いたんです」

奈緒は小さく目を見開いて、そして視線を伏せる。

「だけど、同時に——ものすごく嬉しかった」
瀬戸はゆっくりと続けた。

「誰かの気持ちに、そこまで強く触れられる存在になれていたんだって。
自分でも気づかないうちに、あなたが特別になっていたんだって思い知りました」

奈緒の鼓動が、ぐん、と跳ねた。

「だから……今日、ちゃんと言います」

瀬戸はまっすぐに奈緒を見て、落ち着いた声で告げた。

「僕と、付き合ってもらえませんか」

言葉は簡潔だった。

けれどその眼差しの奥にある独占欲は、静かに、確かに滲んでいた。

「もう他の誰にも、あなたの無防備な笑顔なんて見せてほしくないです」

奈緒は唇をきゅっと結び、顔を伏せた。

耳まで染まりきって、熱がどんどん上がっていくのがわかる。

「そ、そんな言い方ずるいです……」

瀬戸は、にこりと笑う。
「ずるくていいです」

奈緒は耐えきれずに小さく笑ってしまった。
「……はい。お願いします」

ゆっくりと顔を上げると、瀬戸の目がふわりと緩んでいた。
まるで宝物を見つけたような、そんなまなざしだった。
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