酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
「水原、ちょっといいか」
デスクの向こうから、編集デスクの狩野が声をかけてくる。
奈緒はすぐに立ち上がって近づいた。
「最近、また増えてるんだよ。自転車と歩行者の接触事故。それからひったくりもな。地味だけど、生活に直結する分、読者の反応がいい。今週の生活面トップはこれでいく」
狩野は淡々と資料を差し出しながら続ける。
「地元の警察官に話聞いて、交通安全や防犯の啓発にも協力してきてくれ。取材は、明日。新宿東口交番。14時な」
「……新宿、東口……」
口の中で繰り返したその単語に、奈緒の心臓が一瞬だけ跳ねた。
(東口?……あれ? あの日、私が酔って連れて行かれた交番って……)
――東口? それとも、西口だった?
一瞬、脳内であの夜の光景がよみがえる。
夜の街角、ふらふら歩いた先、路上に座り込んで……
目を開けたら、警察官の制服が目の前にあって。
(……わ、やめてやめて、思い出さないで……)
思わず頭を軽く振った。
「あそこの交番、警察官の数も多いし……きっと大丈夫、大丈夫」
誰にともなく呟きながら、引きつった笑顔を浮かべる。
「はい。明日14時、新宿東口交番ですね。わかりました」
狩野に返事をし、メモを片手にデスクへ戻ると、奈緒は息をつきながら胸を押さえた。
(……まさか、あの人じゃないよね? っていうか、いたとして……私、どんな顔して行けばいいのよ)
でも、やるしかない。これも仕事。プロとして。
奈緒は気合いを入れ直すように小さく頷き、予定表に「4月21日(火)14:00 新宿東口交番」と書き込んだ。
その日の午後、少し早めにオフィスを後にした。
デスクの向こうから、編集デスクの狩野が声をかけてくる。
奈緒はすぐに立ち上がって近づいた。
「最近、また増えてるんだよ。自転車と歩行者の接触事故。それからひったくりもな。地味だけど、生活に直結する分、読者の反応がいい。今週の生活面トップはこれでいく」
狩野は淡々と資料を差し出しながら続ける。
「地元の警察官に話聞いて、交通安全や防犯の啓発にも協力してきてくれ。取材は、明日。新宿東口交番。14時な」
「……新宿、東口……」
口の中で繰り返したその単語に、奈緒の心臓が一瞬だけ跳ねた。
(東口?……あれ? あの日、私が酔って連れて行かれた交番って……)
――東口? それとも、西口だった?
一瞬、脳内であの夜の光景がよみがえる。
夜の街角、ふらふら歩いた先、路上に座り込んで……
目を開けたら、警察官の制服が目の前にあって。
(……わ、やめてやめて、思い出さないで……)
思わず頭を軽く振った。
「あそこの交番、警察官の数も多いし……きっと大丈夫、大丈夫」
誰にともなく呟きながら、引きつった笑顔を浮かべる。
「はい。明日14時、新宿東口交番ですね。わかりました」
狩野に返事をし、メモを片手にデスクへ戻ると、奈緒は息をつきながら胸を押さえた。
(……まさか、あの人じゃないよね? っていうか、いたとして……私、どんな顔して行けばいいのよ)
でも、やるしかない。これも仕事。プロとして。
奈緒は気合いを入れ直すように小さく頷き、予定表に「4月21日(火)14:00 新宿東口交番」と書き込んだ。
その日の午後、少し早めにオフィスを後にした。