酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
デートの帰り道、新宿の駅までの道のりを並んで歩く。

昼間の喧騒とは打って変わって、夜の街は静まり返り、ショーウィンドウに映るふたりの影が仲良く並んで揺れていた。

改札前で足を止めると、瀬戸がふとポケットに手を入れながら奈緒に向き直る。

「道草食ってないで、まっすぐ帰るんだよ」

その口ぶりがあまりにも保護者みたいで、奈緒はむっと眉をひそめた。

「……子ども扱い、やめてください」

ぷいっと横を向いた奈緒に、瀬戸は小さく笑うと、そっと手を伸ばして彼女の頭をぽんぽんと撫でた。

「はい、おやすみ。お姫様」

その言葉に、奈緒の胸が一気に熱くなる。
返事をしようとした唇は、声にならず、ただ瀬戸の顔を見つめたまま動けなかった。

そんな奈緒に一度だけ穏やかな笑みを残し、瀬戸は改札の中へと足を踏み入れる。

……のかと思った、次の瞬間。

瀬戸は改札を通らず、きょとんとした奈緒に目をやりながら、言った。

「……あれ、言ってなかったっけ? 僕もこの路線」

「え?」

「終点まで行くと、うちの最寄り。君と同じ駅」

一瞬、奈緒の心がふわりと浮いた。

「……え、ちょっと、そういうのは、もっと早く言ってくださいよ」

動揺を隠すように背中を向けると、瀬戸はくすりと笑った。

「じゃあ、お姫様の護衛として、最後までお供しましょうか」

奈緒は小さく溜息をつきながらも、その言葉が嬉しくてたまらなかった。

ふたりは、ひとつの改札を並んでくぐり抜けた。
< 170 / 204 >

この作品をシェア

pagetop