酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
休日の午後、拓真の部屋に到着すると、奈緒は靴を脱ぐなり、玄関先で瀬戸にぎゅっと抱きついた。

「ちょ、奈緒……まだコートも脱いでないじゃん」

「いいの。ずっと我慢してたんだから」
奈緒はそのまま顔を拓真の胸元に埋めた。

「交番でもちょっと手を伸ばせば、触れるところにいたのに、すごく我慢してた。苦しかったんだよ」

小さな声でそう呟く奈緒の体が、ほんの少し震えているのがわかる。

拓真はふっと優しく笑って、「なんとなく気付いてた」と言いながら、コート越しの奈緒の背中に腕を回した。
そして、抱きしめたまま、奈緒の頭をそっと撫でる。

「拓真くんの匂い、好き」
奈緒は少し顔を上げて、そう言った。
真剣な眼差しで見上げる瞳に、瀬戸の理性がかすかに揺れる。

「……奈緒」
その名前を呼ぶ声には、戸惑いと愛しさが滲んでいた。

だが、今はただ、彼女を安心させたいという気持ちが勝っていた。

瀬戸は優しく微笑んで、「まずはコート脱ごうか」と言って、奈緒の襟元に手をかけた。

空気は甘く、穏やかで、しかし確実に温度を帯びていった。
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