酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
リビングにふんわりとコーヒーの香りが広がる中、拓真がふたり分のカップをソファのローテーブルに置いた。

「ほら、砂糖なし。牛乳ちょっとだけ」
奈緒は嬉しそうに頷いて受け取り、ふたり並んでソファに腰を下ろす。

ほんの数日前まで、手を繋ぐことすら躊躇っていたふたり。

カップを手にしながら、拓真がふと呟いた。
「……数日前まで手も繋ぐの躊躇ってた子とは思えないな」

奈緒は少し口を尖らせながら、「だって、緊張してたもん」と返す。

拓真はカップをテーブルに戻し、ふといたずらっぽく尋ねた。
「それでさ、あれから……約束、破ってないの?」

奈緒は即座に「当たり前じゃん」と胸を張る。
「拓真くんのこと考えるのに精一杯で、仕事と拓真くんが頭の中を行ったり来たりしてるの」

その真っ直ぐな言葉に、拓真は苦笑交じりに吹き出す。
「……平気で可愛いこと言うじゃん」

次の瞬間、拓真はカップを置いて、奈緒の体をぐっと自分の方に引き寄せた。

抵抗する間もなく、奈緒は拓真の胸元に倒れこみ、肩口に頭がポンと収まる。

奈緒は頬を赤らめながら、何も言わずに拓真の腕に自分の腕を絡めた。
ふたりの鼓動が、ゆっくりと、しかし確かに重なっていった。
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