酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
奈緒は、少し体を動かして拓真の膝の上にそっと腰を下ろした。
拓真は驚いたように目を見開いたが、すぐに優しい表情へと変わる。

奈緒は彼の額にかかった髪を、人差し指でつーっとなぞった。
指先が肌に触れるたび、互いの呼吸が少しずつ浅くなっていく。

そのまま頬に手のひらを添え、じっと視線を絡ませた。
柔らかな光の中、静かに流れる時間に、奈緒の瞳が揺れる。

「戦ってる拓真くん、可愛い」
愛おしそうに笑いながら、頬に添えた指先をゆっくり動かした。

拓真はその手に自分の手をそっと重ね、ふっと目を細める。
「いいよ。したいようにしてごらん?」

奈緒は一瞬、表情をこわばらせて、視線を逸らした。
「……そう言われると、ちょっと……」
恥ずかしさを隠すように口をきゅっとつぐんだ。

拓真は小さく笑って、優しい声で囁いた。
「じゃあ、お預けだね」

そう言って、奈緒を自分の胸元にとんと抱き寄せる。
広くて温かい胸に包まれて、奈緒は目を閉じた。

(……意地悪)

けれど、その意地悪さが、たまらなく甘くて、心地よかった。
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