酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
拓真の唇が耳たぶを離れた。

湿った感触が残るその場所に、夜の空気がひやりと触れて、余韻だけが痺れのように残る。

けれど次の瞬間、彼の唇は奈緒の首筋へと下りてきた。

「んっ……」
舌先でゆっくりと肌をなぞられた瞬間、奈緒の身体がびくりと震える。

顎の下、喉元、鎖骨へ。

そこに当たる彼の唇と息遣いは熱を帯びていて、奈緒は身をよじりながら快感を受け止める。

そして、彼の手が胸元へと滑ってくる。

ブラの上から、優しく、包み込むように触れられ――親指でそっと円を描かれる。

「たく……ま、くん……」
甘く名前を呼ぶ声が、自分のものとは思えないほど濡れている。

これ以上触れられたら、自分がどうなってしまうのか怖い。

けれど、もう止まれなかった。

――違う。怖いんじゃない。欲しいのだ。

彼を、もっと深く。

ちゃんと、自分の意志で。

奈緒はゆっくりと手を伸ばし、拓真の頬に触れる。

そのまま視線を合わせ、ゆっくりと自分からキスを落とした。

それは、ただの応えではなかった。

受け身ではない、奈緒からの「欲しい」の意思表示だった。

キスは次第に深くなり、舌先が絡まる。

息が混じり合い、熱がこもる。

そして奈緒の手は、拓真のシャツの裾をそっと指先でたぐる。

肌に触れた瞬間、彼が少しだけ目を見開いた。

「……奈緒……?」
囁くようなその声に、奈緒は微かに笑って、小さく頷いた。

「……わたしも、触れたいの」

その言葉は震えていたけれど、確かな意志が込められていた。

拓真の視線が、どこか愛おしそうに柔らかくなって、そっと彼女の手を導く。

奈緒の手が、彼の肌に直接触れる。

温かくて、しっかりした体つき――この人が、いま、自分だけのものだと実感する。

触れるたびに、拓真の息がわずかに乱れるのを感じて、奈緒の胸に甘い喜びが広がった。

快感だけじゃない。

信頼と愛しさが、身体を通じて繋がっていく――
そんな確かな確信が、二人の距離をさらに近づけていく。

奈緒はもう、ただ受け取るだけの自分ではいられなかった。

自分から触れて、自分から求めることの幸福を、今まさに知っていく――その夜だった。
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