酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
「お待たせしました」
瀬戸が資料を持って戻ってくると、奈緒は少し緊張気味に笑って「ありがとうございます」と頭を下げた。
その瞬間、瀬戸の手から渡されたコピーの束の中に、きちんとホチキスで留められた資料があることに気づき、奈緒は思わず小さく目を見開いた。
(丁寧……なんか意外と几帳面……)
心の中でそう思った自分に戸惑いながら、ペンを握り直す。
瀬戸は資料の一部を開きながら、淡々と説明を再開した。
「これは、先月実施した交通安全のキャンペーンです。新宿駅前で配布した啓発チラシと、近隣の小学校との連携内容がまとめられてます」
「はい……なるほど、小学生への呼びかけも含めて地域巻き込み型の活動ですね」
必死に仕事モードを取り戻そうとする奈緒。
でも、目の前の瀬戸が冷静に話すたびに、ほんの少し、あの夜の酔っ払った自分が脳裏をよぎる。
(水買ってもらって、お巡りさんって言って…)
顔が熱くなるのを感じて、慌ててノートに視線を落とした。
「それと、強盗事件については、最近この周辺でも発生件数が増えていて、警戒中です」
「具体的には、どんな対応を?」
「深夜帯の巡回を強化しています。商業施設の裏手や、公園のベンチ周辺。あと、自転車の防犯登録を確認しながら声かけを行ってます」
瀬戸の説明は冷静で、過不足がない。
なのに、奈緒の耳にはなぜか少しだけ、言葉が優しく聞こえてくる気がして、余計に集中が逸れてしまう。
(だめだ、落ち着け……。今は仕事中)
手元のノートをめくる音が、わずかに交番内に響いた。
「あと、こちらがその啓発ポスターの原稿です。掲示の協力をお願いする店舗や施設もリストアップしてあります」
「……ありがとうございます。とても、参考になります」
ようやく記者らしい言葉を返せたことに、奈緒は少しだけ安堵した。
瀬戸はそんな彼女をじっと見た後、「他に聞きたいことありますか?」と、いつも通りの口調で尋ねた。
だが奈緒は一瞬、ペンの先でページの端をつついたまま、言葉を選ぶように黙ってしまった。
(聞きたいこと、あるけど……今はやめとこ)
「……いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
瀬戸は「了解です」とだけ答えた。
気まずさを抱えたまま、それでも少しずつ距離が近づくような、奇妙な静けさが交番の片隅に流れていた。
瀬戸が資料を持って戻ってくると、奈緒は少し緊張気味に笑って「ありがとうございます」と頭を下げた。
その瞬間、瀬戸の手から渡されたコピーの束の中に、きちんとホチキスで留められた資料があることに気づき、奈緒は思わず小さく目を見開いた。
(丁寧……なんか意外と几帳面……)
心の中でそう思った自分に戸惑いながら、ペンを握り直す。
瀬戸は資料の一部を開きながら、淡々と説明を再開した。
「これは、先月実施した交通安全のキャンペーンです。新宿駅前で配布した啓発チラシと、近隣の小学校との連携内容がまとめられてます」
「はい……なるほど、小学生への呼びかけも含めて地域巻き込み型の活動ですね」
必死に仕事モードを取り戻そうとする奈緒。
でも、目の前の瀬戸が冷静に話すたびに、ほんの少し、あの夜の酔っ払った自分が脳裏をよぎる。
(水買ってもらって、お巡りさんって言って…)
顔が熱くなるのを感じて、慌ててノートに視線を落とした。
「それと、強盗事件については、最近この周辺でも発生件数が増えていて、警戒中です」
「具体的には、どんな対応を?」
「深夜帯の巡回を強化しています。商業施設の裏手や、公園のベンチ周辺。あと、自転車の防犯登録を確認しながら声かけを行ってます」
瀬戸の説明は冷静で、過不足がない。
なのに、奈緒の耳にはなぜか少しだけ、言葉が優しく聞こえてくる気がして、余計に集中が逸れてしまう。
(だめだ、落ち着け……。今は仕事中)
手元のノートをめくる音が、わずかに交番内に響いた。
「あと、こちらがその啓発ポスターの原稿です。掲示の協力をお願いする店舗や施設もリストアップしてあります」
「……ありがとうございます。とても、参考になります」
ようやく記者らしい言葉を返せたことに、奈緒は少しだけ安堵した。
瀬戸はそんな彼女をじっと見た後、「他に聞きたいことありますか?」と、いつも通りの口調で尋ねた。
だが奈緒は一瞬、ペンの先でページの端をつついたまま、言葉を選ぶように黙ってしまった。
(聞きたいこと、あるけど……今はやめとこ)
「……いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
瀬戸は「了解です」とだけ答えた。
気まずさを抱えたまま、それでも少しずつ距離が近づくような、奇妙な静けさが交番の片隅に流れていた。