酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
交番の外に出ると、春の風がふわりと頬を撫でた。
ちょっとだけ、呼吸がしやすくなる。
でも、鼓動はいまだ落ち着いてはくれなかった。
「今日は……本当に、ありがとうございました」
奈緒は頭を下げながら、反射的に言葉を継いだ。
「記事ができたら、郵送か電子メールでお送りしますので」
そう言いながら、ハッとした。
名刺を渡していなかったことに気づき、慌ててバッグのポケットをごそごそと探す。
「すみません、名刺、忘れてました……」
やっとの思いで取り出し、瀬戸に差し出す。
瀬戸は少しだけ驚いたように眉を上げたあと、「滅多に使う機会ないんですけど」と言いながら、制服のポケットを探って一枚の名刺を取り出した。
差し出されたそれを受け取りながら、奈緒は指先で紙の角をなぞる。
きっちりとした字で「瀬戸拓真」と書かれていた。
所属と階級、連絡先。
あの夜、あの時のことを思い出しそうになり、慌てて意識を戻す。
「物騒な事件も多いので、くれぐれもお気をつけて」
瀬戸は少し声を落としながら言った。
その言葉に、奈緒は一瞬だけ見上げた。
目が合うと、瀬戸はほんの少しだけ、口元で笑った気がした。
……なんか、いい人だな。
恋とか、そんなのじゃなくて。
ただ、真面目で、ちゃんとしてて、でもちょっと意地悪で。
でも、素直で、なんか――信頼できそうな人。
「……ありがとうございます。気をつけます」
そう返す声が、風に乗って静かに流れていった。
名刺をバッグにしまいながら、奈緒は胸の奥でそっと何かが動いた気がした。
ちょっとだけ、呼吸がしやすくなる。
でも、鼓動はいまだ落ち着いてはくれなかった。
「今日は……本当に、ありがとうございました」
奈緒は頭を下げながら、反射的に言葉を継いだ。
「記事ができたら、郵送か電子メールでお送りしますので」
そう言いながら、ハッとした。
名刺を渡していなかったことに気づき、慌ててバッグのポケットをごそごそと探す。
「すみません、名刺、忘れてました……」
やっとの思いで取り出し、瀬戸に差し出す。
瀬戸は少しだけ驚いたように眉を上げたあと、「滅多に使う機会ないんですけど」と言いながら、制服のポケットを探って一枚の名刺を取り出した。
差し出されたそれを受け取りながら、奈緒は指先で紙の角をなぞる。
きっちりとした字で「瀬戸拓真」と書かれていた。
所属と階級、連絡先。
あの夜、あの時のことを思い出しそうになり、慌てて意識を戻す。
「物騒な事件も多いので、くれぐれもお気をつけて」
瀬戸は少し声を落としながら言った。
その言葉に、奈緒は一瞬だけ見上げた。
目が合うと、瀬戸はほんの少しだけ、口元で笑った気がした。
……なんか、いい人だな。
恋とか、そんなのじゃなくて。
ただ、真面目で、ちゃんとしてて、でもちょっと意地悪で。
でも、素直で、なんか――信頼できそうな人。
「……ありがとうございます。気をつけます」
そう返す声が、風に乗って静かに流れていった。
名刺をバッグにしまいながら、奈緒は胸の奥でそっと何かが動いた気がした。