酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
「ちょっと待って、それってさ」
「フツーに気になってるじゃん」

花夏がニヤニヤしながら言った。
奈緒はすかさず首を横に振る。

「ち、違うから」
「ただ……なんていうか、その……もう、ほんと恥ずかしくて」

「でも、冷たくあしらわれたのに、意外とちゃんと話も聞いてくれて」
「資料も丁寧に説明してくれたし、仕事ちゃんとしてる人なんだなって」

「ふーん」
花夏がにやついたまま、焼き鳥を一本持ち上げた。

「で?見た目はどんな感じ?」
「身長は?」

「たぶん……180センチくらい?背、高い」
「黒髪で、短髪で、制服めっちゃ似合ってた」
「横顔、映画に出てきそうな感じ」

「うわ、それは沼だわ」
「ねぇ、連絡先渡したの?っていうか、名刺交換とかした?」

奈緒はうつむいて、箸を止めた。

「……した」

「まじじゃん!!」
花夏がテーブルをバンっと叩く。

「それ、もう運命ってことでいい?」

奈緒は笑いながら、グラスの水を口に運んだ。
顔の熱はまだ引いていなかった。

「違うってば……ただの、事故」
「お酒と私の、最悪な化学反応」

「ふーん」
「じゃあ、次会う機会あったらどうするの?」

「……」
奈緒は少し考え込んだ。

「……もう失礼なこと言わないように、まず冷静を保つ」
「で、なるべく普通に、記者として話す」

花夏はあきれ顔で笑った。

「もう、その努力してる時点で、気になってる証拠だってば」

奈緒は頬杖をつきながら、遠くを見た。

「……だったら、もう少しまともな出会い方したかったよ」
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