酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
夕方7時、新宿駅の改札前。
制服を着た瀬戸と川合が向かう先には、目を潤ませた小さな女の子が立っていた。
「おばあちゃんが来ないの……」
泣きそうな声で話す子に、川合が優しく寄り添う。
「大丈夫だよ、おばあちゃんきっと探してるよ。名前、教えてくれるかな?」
瀬戸がその隣でメモを取り、子どもの情報を控える。
名前と住所、連絡先を確認し、最寄りの交番へ一時保護。
40分ほどで、心配そうな顔をした祖母が現れ、再会に少女がぱっと笑顔を見せた。
「よかった……ほんと、よかった」
瀬戸はその笑顔を見届けながら、心の底から安堵する。
しかし、長い夜はここからが本番だった。
22時過ぎ。新宿歌舞伎町の裏通り。
路上にうずくまるスーツ姿の中年男性を発見。
「すみません、大丈夫ですか?」
「ここが、家……です……」
川合が通報者から詳細を聞き取る間に、瀬戸は本人に名前と住所を尋ねる。
意識はあるが、まともに受け答えができない状態。
連絡先を見つけ、自宅に電話を入れると、妻が迎えに来ると言う。
交番で保護している間、男性はうわ言のように「もう呑まない……」を繰り返していた。
30分後、家族に無事引き渡し。
状況報告と記録を交番でまとめる。
「この時期、本当に多いですよね。毎年こうだっけ?」
「夏はね、街が浮かれるからな」
23時半。
今度は繁華街の角で大声の怒鳴り合い。
男女の痴話喧嘩で、周囲の店から苦情の通報が入っていた。
「ふざけんなよ、なんで返事しないの! 俺のLINE見てたよな!」
「知らないわよ! あんなの既読スルーするに決まってんでしょ!」
瀬戸と川合が割って入る。
「落ち着いてください。これ以上続けるようなら、パトカーに乗ってもらいますよ」
「警察呼ぶほどのことじゃないだろ!」
「十分です。周囲の方々に迷惑がかかっています」
双方から話を聞き、身元を確認。
一時、交番で冷静になるまで保護。
騒ぎを収めた上で注意を行い、本人たちもやや気まずそうに頭を下げて別々の道へと帰っていった。
「カップルかと思ったら、元カノと元カレだったらしいですよ」
川合が苦笑しながら書類をまとめる。
その30分後、今度は物損事故の通報。
現場は駅近くの細い道。
車が小さなガードレールに接触していた。
ドライバーは20代の男性。
怪我なし、車も軽傷。
「急に人が飛び出してきた気がして……ブレーキ踏んだんですけど」
川合が車の損傷を確認しながら、瀬戸は男性に言う。
「念のため、飲酒検査させてください」
「え? 飲んでないですけど……」
呼気検査の結果はシロ。
事故処理として、現場写真・本人供述・ガードレールの損傷状況を記録する。
交通課へ報告を入れ、物損事故として処理。
「一晩でこれ、5件目か……」
瀬戸が目元を押さえながら呟く。
交番に戻ったのは午前2時過ぎ。
デスクに座り、5件分の報告書を並べて、それぞれ記入していく。
「先輩、俺コーヒー買ってきます」
「頼む」
川合が出ていく背中を見送りながら、瀬戸は思う。
——なんで毎年こうなるって、思ってるのに。
——でも、見捨てられないんだよな。
書類の最後にペンを走らせ、疲れた肩を回す。
静かには終わらない夏の夜は、まだ終わっていなかった。
制服を着た瀬戸と川合が向かう先には、目を潤ませた小さな女の子が立っていた。
「おばあちゃんが来ないの……」
泣きそうな声で話す子に、川合が優しく寄り添う。
「大丈夫だよ、おばあちゃんきっと探してるよ。名前、教えてくれるかな?」
瀬戸がその隣でメモを取り、子どもの情報を控える。
名前と住所、連絡先を確認し、最寄りの交番へ一時保護。
40分ほどで、心配そうな顔をした祖母が現れ、再会に少女がぱっと笑顔を見せた。
「よかった……ほんと、よかった」
瀬戸はその笑顔を見届けながら、心の底から安堵する。
しかし、長い夜はここからが本番だった。
22時過ぎ。新宿歌舞伎町の裏通り。
路上にうずくまるスーツ姿の中年男性を発見。
「すみません、大丈夫ですか?」
「ここが、家……です……」
川合が通報者から詳細を聞き取る間に、瀬戸は本人に名前と住所を尋ねる。
意識はあるが、まともに受け答えができない状態。
連絡先を見つけ、自宅に電話を入れると、妻が迎えに来ると言う。
交番で保護している間、男性はうわ言のように「もう呑まない……」を繰り返していた。
30分後、家族に無事引き渡し。
状況報告と記録を交番でまとめる。
「この時期、本当に多いですよね。毎年こうだっけ?」
「夏はね、街が浮かれるからな」
23時半。
今度は繁華街の角で大声の怒鳴り合い。
男女の痴話喧嘩で、周囲の店から苦情の通報が入っていた。
「ふざけんなよ、なんで返事しないの! 俺のLINE見てたよな!」
「知らないわよ! あんなの既読スルーするに決まってんでしょ!」
瀬戸と川合が割って入る。
「落ち着いてください。これ以上続けるようなら、パトカーに乗ってもらいますよ」
「警察呼ぶほどのことじゃないだろ!」
「十分です。周囲の方々に迷惑がかかっています」
双方から話を聞き、身元を確認。
一時、交番で冷静になるまで保護。
騒ぎを収めた上で注意を行い、本人たちもやや気まずそうに頭を下げて別々の道へと帰っていった。
「カップルかと思ったら、元カノと元カレだったらしいですよ」
川合が苦笑しながら書類をまとめる。
その30分後、今度は物損事故の通報。
現場は駅近くの細い道。
車が小さなガードレールに接触していた。
ドライバーは20代の男性。
怪我なし、車も軽傷。
「急に人が飛び出してきた気がして……ブレーキ踏んだんですけど」
川合が車の損傷を確認しながら、瀬戸は男性に言う。
「念のため、飲酒検査させてください」
「え? 飲んでないですけど……」
呼気検査の結果はシロ。
事故処理として、現場写真・本人供述・ガードレールの損傷状況を記録する。
交通課へ報告を入れ、物損事故として処理。
「一晩でこれ、5件目か……」
瀬戸が目元を押さえながら呟く。
交番に戻ったのは午前2時過ぎ。
デスクに座り、5件分の報告書を並べて、それぞれ記入していく。
「先輩、俺コーヒー買ってきます」
「頼む」
川合が出ていく背中を見送りながら、瀬戸は思う。
——なんで毎年こうなるって、思ってるのに。
——でも、見捨てられないんだよな。
書類の最後にペンを走らせ、疲れた肩を回す。
静かには終わらない夏の夜は、まだ終わっていなかった。