酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
その日の午後、社会部のミーティングが開かれた。

会議室には部員たちが集まり、扇風機が回る中、狩野が資料を手に立ち上がった。

「水原と高木の地域に根ざす防犯活動に関する記事が出来が良かったから、全国規模の新聞社のコンペティション『第21回ジャーナリズム・ネット大賞』に応募したんだが——」

一同の視線が一斉に集まる。

「なんとそれが、社会部部門最優秀賞を受賞した」

狩野はにっこり笑いながら、手を叩いた。
「高木、水原。おめでとう」

会議室に拍手が広がる。

コンペティション応募も受賞も初耳だった奈緒と花夏は、顔を見合わせた。

「聞いてないよ……」と花夏が口を動かすと、奈緒も「まさかね」と小さく笑った。

ふたりは目を合わせ、互いの手を軽く叩きながら喜び合った。

狩野は拍手が落ち着くのを待ち、続けた。
「そこでだ。会社の方針として、この社会部の活躍に大いに期待することになった」

「近頃増えている、特殊詐欺や強盗事件、投資詐欺、盗撮や痴漢といった、誰もが被害者となりうる犯罪について——」

「読者に意識を高めてもらうために、これらのテーマを取り扱った記事を連載することに決まった」

「地元の警察や交番とも連携し、綿密な取材をしつつ、お前たち自身も知識を深めて、有意義な記事をつくっていってほしい」

狩野の視線が部員たちをゆっくりと見回す。

「そこでこの連載に関して、リーダーを決めたい」

「誰か、やりたい人はいるか?」

静まり返る会議室の空気に、ふっと緊張が走った。
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