酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
ん……?
目を開けると、誰かがすぐ近くにしゃがみ込んでた。
顔が、すごく近い。
輪郭がぼんやりしてるけど――

あ、イケメン。

ふっと、口角が上がった。
なんか、いいこと起きそうな気がする。
まだ体はふわふわしてるけど、音がだんだん鮮明になってくる。

「お名前は?」
「お家どこですか?」

男の人の声。
聞き慣れない、でも安心感のあるトーン。

何度か瞬きして、ピントが合ってきた視界の中に――
警察官の制服。

……お巡りさん……?
しかも、やばい、顔がかっこいい。

「わぁ、おまわりさん、かっこいい」
口から勝手に出てた。
素直すぎる自分に、ちょっと笑えてきた。

目の前の無線機に興味がわいて、手を伸ばす。
「それ、喋れるやつ……?」

でも、すぐに手を押し返される。
「触らないでください」

そのとき、指先に触れた手。
あったかくて、じんわりと沁みてくる。
なんか、守られてる感じ。

「けち」
また、口から自然に出てた。

お巡りさん、露骨にめんどくさそうな顔した。
そっか、酔っぱらいの相手なんて、したくないよね。

「おまわりさん、つめたぁーい」
ちょっとむくれて言ってやった。

そのとき、後ろから別の声が聞こえた。
「お姉さん、立てますか?」

見上げると、さっきの人よりだいぶ年上っぽい警察官が手を差し出してくれてる。

でも――
「いや、こっちのお巡りさんがいい」
さっきのイケメン警官に、また手を伸ばした。

彼は明らかに嫌そうな顔をしたけど、指先だけで、奈緒の腕を掴んだ。

「はい、立って」
無機質な声。

それじゃ立てないんだけど。
なんかもう、こっちは必死なんだけど。

「おまわりさんが支えてくれないと、立てない〜!」
ごねた。
完全に、子どもみたいに。
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