酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
奈緒は湯気の立ちこめるバスルームでシャワーを浴びていた。
熱いお湯が肩を伝って流れ落ちる。

鏡の前に立つと、ほてった顔が映り込んだ。

あの日――酔って交番に連れて行かれた日の、自分の顔とどこか似ている気がして、思わず目をそらす。

自分がどれだけ思っても、あの人は私みたいな人間を、よく思わないだろう。
路上で寝て、警察官にダル絡みして。

普通の人でも引くのに、ましてやあの人は警察官。

奈緒は目をぎゅっと閉じ、シャワーの温度を少し上げた。
頭から勢いよくお湯をかぶる。

忘れよう。
実らないとわかっている恋心なんて、持っている意味がない。
自分にそう言い聞かせながら、シャワーの音に紛れて、小さく息を吐いた。
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