酔って寝てたら保護されましたが、これが恋の始まりだなんて聞いてません〜警察官の甘やかな独占欲に包まれて〜
いつも通り、駅構内の巡回に出ていた。
後輩の杉崎が隣で手持ち無沙汰に歩きながら、「今日は、暇ですね」などと禁句を口にする。
「お前、二度というなよ。暇って言った瞬間に通報が入るんだからな」
瀬戸は眉をひそめて言った。
杉崎は悪びれもなく笑って、「すみません」と答える。
本当に、そういう時に限って何かが起きるのが常だ。
駅の改札口へ続く階段を降りると、視界の端に、見覚えのある人影が入った。
────水原奈緒。
かつて路上で酔い潰れていた、あの新聞記者。
杉崎もすぐに気づいたようで、「あっ、水原さんだ」と声を上げる。
少し先、改札前の群れの中に、確かに彼女がいた。
目が合った。
彼女は目を赤くしていた。
どこか落ち着かない様子で、こちらを見ている。
その瞳は揺れている気がした。
声をかけるべきか、迷う間もなく、彼女の方から小さな声で言った。
「こんにちは。お疲れ様です」
作ったような笑顔だった。
その一言を置くようにして、彼女は会釈し、改札を通って行った。
まるで逃げるように。
瀬戸はその背中を、言いようのない思いで見つめていた。
なぜか、目を離せなかった。
あの背中が、どこか、寂しそうで。
後輩の杉崎が隣で手持ち無沙汰に歩きながら、「今日は、暇ですね」などと禁句を口にする。
「お前、二度というなよ。暇って言った瞬間に通報が入るんだからな」
瀬戸は眉をひそめて言った。
杉崎は悪びれもなく笑って、「すみません」と答える。
本当に、そういう時に限って何かが起きるのが常だ。
駅の改札口へ続く階段を降りると、視界の端に、見覚えのある人影が入った。
────水原奈緒。
かつて路上で酔い潰れていた、あの新聞記者。
杉崎もすぐに気づいたようで、「あっ、水原さんだ」と声を上げる。
少し先、改札前の群れの中に、確かに彼女がいた。
目が合った。
彼女は目を赤くしていた。
どこか落ち着かない様子で、こちらを見ている。
その瞳は揺れている気がした。
声をかけるべきか、迷う間もなく、彼女の方から小さな声で言った。
「こんにちは。お疲れ様です」
作ったような笑顔だった。
その一言を置くようにして、彼女は会釈し、改札を通って行った。
まるで逃げるように。
瀬戸はその背中を、言いようのない思いで見つめていた。
なぜか、目を離せなかった。
あの背中が、どこか、寂しそうで。