魔法使い時々王子
部屋に戻るなり、アリスはルーナに向き直った。

「ごめんなさい……。あなたのせいじゃないのに……」

思わずそう口にすると、ルーナは首を横に振り、穏やかに微笑んだ。

「大丈夫です。きっとエレオノーラ様も、すべてお分かりだったと思います。
ですが、あの場で騒ぎ立てるわけにはいきませんでした。ああするしかなかったのです」

その言葉に、アリスは小さく息を吐いた。

「……やっぱり、ニーナ様かしら……」

呟くように言うと、ルーナは少し考え込む。

「今は、何とも言えません。ただ――結婚式の前に騒ぎを起こすことは、避けたいですね」

そう前置きしてから、はっきりと告げた。

「これからは、お茶会や食事会への参加は最小限にしましょう。
式の準備のため、体調を整えたいと伝えれば、問題なく通るはずです」

アリスは黙って頷いた。

頭の中に浮かぶのは、ニーナの穏やかな微笑みだった。
あの人が、取り巻き達に指示して招待状をすり替えたのか…
アリスには、まだ分からなかった。
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