魔法使い時々王子
アリスは自室に戻ると、ほっと息をついた。

「お茶会はいかがでしたか?」

ルーナが控えめに尋ねる。

アリスは少し迷ってから、首を横に振った。

「……私、誤解していたわ。ニーナ様は、何もしていなかった」

ルーナは驚いたように目を瞬かせる。

「では、最近アリス様の周りで起きていたことは……ニーナ様のご指示ではなかった、ということですね」

「ええ」

アリスは窓の外に視線を向けたまま、静かに答えた。

「勝手に決めつけていたの。嫌がらせを受けたからって、疑うべきじゃなかった」

しばらく沈黙が落ちる。

やがて、アリスは小さく息を吸った。

「……ニーナ様に、謝らないと」

その声には、迷いよりも決意が滲んでいた。

ルーナは一瞬だけ言葉を探すように視線を伏せ、それから穏やかに頷いた。

「きっと、そのお気持ちは伝わります」
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