魔法使い時々王子
その夜、シドはレオの店にいた。
カウンターに肘をつき、グラスを傾けるシドを、向かいからリアンが眺めている。
「で?」
リアンはそう言って、グラスを傾けた。
シドは一瞬言葉を探してから、静かに答える。
「結婚式は無事に終わったようだ。公務が増えて、毎日忙しいらしい」
「……そっか」
リアンは軽く頷いただけで、すぐには何も言わなかった。
少し間を置いてから、穏やかな声で続ける。
「それで、安心はしたんでしょ?」
「……ああ」
「でも、なんか引っかかってる」
図星だった。
シドは苦笑して、グラスの中身を見つめる。
「セオ王子が優しいって書いてあった。誠実で、ちゃんと支えてくれてるって」
リアンはそれを聞いて、ふっと小さく笑った。
「それ、悪い話じゃないはずなのにね」
「……」
シドは黙り込んだ。
リアンは少し考えるように視線を上げてから、柔らかく言った。
「嫉妬、って言うと大げさかもしれないけどさ、簡単に割り切れない気持ちが残ってるんじゃない?」
シドは答えなかったが、否定もしなかった。
リアンは声の調子を変えず、静かに尋ねる。
「この手紙、いつまで続けるつもり?」
シドはゆっくりと息を吐いた。
「……終わりにしなきゃ、とは思ってる」
「それでも、すぐには切れないよね」
「……ああ」
リアンは微笑んで、グラスを持ち上げた。
「無理に答え出さなくていいと思うよ」
「リアン……」
「ただ、自分が一番苦しくなるタイミングだけは、見失わないで」
シドは、ほんの少しだけ肩の力を抜いた。
カウンターに肘をつき、グラスを傾けるシドを、向かいからリアンが眺めている。
「で?」
リアンはそう言って、グラスを傾けた。
シドは一瞬言葉を探してから、静かに答える。
「結婚式は無事に終わったようだ。公務が増えて、毎日忙しいらしい」
「……そっか」
リアンは軽く頷いただけで、すぐには何も言わなかった。
少し間を置いてから、穏やかな声で続ける。
「それで、安心はしたんでしょ?」
「……ああ」
「でも、なんか引っかかってる」
図星だった。
シドは苦笑して、グラスの中身を見つめる。
「セオ王子が優しいって書いてあった。誠実で、ちゃんと支えてくれてるって」
リアンはそれを聞いて、ふっと小さく笑った。
「それ、悪い話じゃないはずなのにね」
「……」
シドは黙り込んだ。
リアンは少し考えるように視線を上げてから、柔らかく言った。
「嫉妬、って言うと大げさかもしれないけどさ、簡単に割り切れない気持ちが残ってるんじゃない?」
シドは答えなかったが、否定もしなかった。
リアンは声の調子を変えず、静かに尋ねる。
「この手紙、いつまで続けるつもり?」
シドはゆっくりと息を吐いた。
「……終わりにしなきゃ、とは思ってる」
「それでも、すぐには切れないよね」
「……ああ」
リアンは微笑んで、グラスを持ち上げた。
「無理に答え出さなくていいと思うよ」
「リアン……」
「ただ、自分が一番苦しくなるタイミングだけは、見失わないで」
シドは、ほんの少しだけ肩の力を抜いた。