魔法使い時々王子
すると、少し離れた渡り廊下に、数名の一団が歩いているのが見えた。
衣装の意匠からして、この国の者ではない。
リアンが目を細める。
「……あれ、またミロ王国からの使者よ」
「最近よく見かけるの。アリス様絡みかしら?」
シドも視線をそちらへ向けた。
数は多くないが、動きは慎重で、どこか張り詰めている。
――アリスの手紙には、特にそれらしいことは書かれていなかった。
結婚式が終わり、公務が増えたこと。
慣れない環境で戸惑いながらも、支えてくれる人がいること。
セオが誠実で、優しいこと。
そこに、不穏さを匂わせる言葉は一つもない。
「……変だな」
思わず漏れたシドの呟きに、リアンは何も言わず、ただ肩をすくめた。
⸻
その頃、アリスはアウルム図書館にいた。
高い天井と、柔らかな光に満ちた静かな空間。
長机の一角で、リトと並んで本を読んでいる。
紙をめくる音だけが、規則正しく響いていた。
アリスは文字を追いながらも、どこか集中しきれていない。
リトは何も言わず、隣で同じように頁をめくっている。
その沈黙が、今のアリスには不思議と心地よかった。
衣装の意匠からして、この国の者ではない。
リアンが目を細める。
「……あれ、またミロ王国からの使者よ」
「最近よく見かけるの。アリス様絡みかしら?」
シドも視線をそちらへ向けた。
数は多くないが、動きは慎重で、どこか張り詰めている。
――アリスの手紙には、特にそれらしいことは書かれていなかった。
結婚式が終わり、公務が増えたこと。
慣れない環境で戸惑いながらも、支えてくれる人がいること。
セオが誠実で、優しいこと。
そこに、不穏さを匂わせる言葉は一つもない。
「……変だな」
思わず漏れたシドの呟きに、リアンは何も言わず、ただ肩をすくめた。
⸻
その頃、アリスはアウルム図書館にいた。
高い天井と、柔らかな光に満ちた静かな空間。
長机の一角で、リトと並んで本を読んでいる。
紙をめくる音だけが、規則正しく響いていた。
アリスは文字を追いながらも、どこか集中しきれていない。
リトは何も言わず、隣で同じように頁をめくっている。
その沈黙が、今のアリスには不思議と心地よかった。