魔法使い時々王子
翌日、アリスはリトを誘い、中庭を訪れていた。
木々を揺らす風が頬をなで、穏やかな午後だった。

「あそこ」

ふいに、リトが顎で示す。
視線の先では、数人の男たちが足早に渡り廊下を進んでいた。

「……あれ、もしかして……カシウス?」

思わず、声が低くなる。

「誰だそれ」

「イスタリアの……父の側近よ。でも、どうしてここにいるの……?」

リトは黙ったまま、その一団を見つめている。

「アリスの様子を見に来たとか?」

「まさか」

アリスは即座に首を振った。

「そんなことで、カシウスがわざわざここまで来るなんて、あり得ないわ」

自分に会いに来るはずがない。
それは、確信に近かった。

けれど――それ以外の理由も、どうしても思い浮かばなかった。
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